哲也昆虫記 ~ファーブルになりたかった少年~ ③キチキチバッタとショウリョウバッタ その2

マイマイカブリ編で登場した父特製の大きな虫かごは、もともとバッタを飼いたい!という哲也の願いからうまれた。

どうせいろんなの飼いたいんだろうと、父は2つも作ってくれたのだ!

普段、厳しくて怖い父でしたが、こういうところがあったのだ。

かごが完成した日の夜はいてもたってもいられなかった。

早く、あの中にバッタを入れたい!

哲也は夕方のうちに、下の部分に畑から土をもってきて入れ、さらにこれも畑から雑草を根っこごとひきぬいて持ってきて、かごの中に植えつけた。

草は畑に充分あるし、近所の草むらにもたくさんある。エサに困ることはないだろう。

そう思っていた。

そうして、バッタの家をつくりあげた哲也は満足して眠りった。

次の日、帰ってきた哲也はすぐに網を持ってでかけました。もちろんバッタをとるためだ。

狙いはショウリョウバッタ。

30分ほどかけまわり、いろんなバッタを手にした。

そして、大きなショウリョウバッタもつかまえた。

哲也はショウリョウバッタ以外を逃がし、その大きなショウリョウバッタを虫かごに入れて飼うことにした。

ワクワクしながらかごに入れた。

家は気に入ってくれるだろうか?

入れてからしばらく観察した。

飛び跳ねたり、網によじのぼったりしている。

草にもとまるが、食べる様子はない。

まあ、明日には食べるだろう。今はおなかすいてないんだ・・・。

哲也はそう思い、その日はそのままにしておいた。

次の日も観察を続けたが、草はあまり食べてないようた。

哲也は畑に生えていた、いろんな草をとにかくひっこぬいて植えていた。

よく見ると、ぜんぜんかじったあとがない葉と、少しかじったあとがあるものがあった。

もう少しようすを見ることにしよう。とりあえずこの日もそのままにしておいた。

次の日・・・。

「あっ!」

哲也は思わず声をあげた。

草がほとんどしおれてるんです。

水はあげてましたが、結局根がしっかりついてなかったようだ。

しかも、やはりかじられたのとかじられてない葉に差がある。

よく見ていくと、気づいたことがあった。

「スジがまっすぐのやつだけかじってる。」

そのころの哲也は平行脈なんて知らなかった。

コイツはそのタイプの葉だけをかじってるようなのだ。

この葉なら、いつもいく草むらにたくさんある。

しかし、草の丈は高いし、根もしっかりしててひきぬけないだろう・・・。

どうしようかと考えていたとき、ばあちゃんから声をかけられました。

「哲也!お仏壇の花、とりかえるからおろしてきて。」

「はーい」

哲也は仏壇に向かった。

そして花瓶をとったとき・・・。

「これだ!」

ある考えが浮かんだのだ。

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