哲也昆虫記  ~ファーブルになりたかった少年~ ⑦掃除屋たちとの出会い その2

「のうなった。」※なくなったの意

朝、ばあちゃんはそう言って

インスタントコーヒーの空き瓶を捨てようとしていた。

哲也ははっとして、思わず

「そのビンちょうだい!」

と言った。

「何にするんか?」

「虫取りに使うとよ。」

ばあちゃんは意味がわからないらしく、不思議そうな顔をしていたが

どうせ哲也のことだから、なんか考えとんのやろうと

そのビンをくれた。

今度のゴミ出しの日のためにまとめておいたほかのビンも2つもらった。

びんは全部で3本。

小学生になっていた哲也は、学校に行かなければならない。

学校の間は授業などほとんど身に入らなかった。

帰ってからのことばかり考えていたからだ。

哲也は帰宅するとすぐに行動にでた。

まずはスコップをもって畑に行き、ミミズを何匹か掘り出した。

ちょうど、葉っぱにイモムシもいたのでそいつもつかまえて

もらったビン入れた。

冷蔵庫から牛脂を取り出して、それも持っていった。

ビン3つに、それぞれミミズとイモムシと牛脂を入れてオサムシ発見現場まで行った。

そして柔らかそうな土の部分を掘り返しそのビンを埋めた。

3本はそれぞれ少し離れた位置に置いた。

そしてあらかじめ用意しておいた割りばしに赤いテープをまいた目印をそのビンのそばにさしておいた。

哲也は、わくわくしながら家に帰った。

確か、オサムシは夜中によく活動すると、本で見たことがあった。

朝行けば入ってるかもしれない。

そう期待して、哲也は4時半に目覚ましをかけて寝た。

ジリリリリリ!

目覚ましがなった。

急いでい起きるとすぐに着替え、むしかごと軍手とピンセットをもって出かけた。

この日も学校なので、早く行って、早く帰ってこないといけない。

哲也は全力で走った。

息を切らしながら、ビンの設置場所に向かった。

近くまで来ると、例の目印の赤いテープが見えた。

哲也は期待と不安を抱えながら、そのビンに近づいていった。

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