今日はいい天気!なんだけど・・・。 昨日と違い、風が冷たくて肌寒かった・・・。 そんな中! 河原に降りて鶴見岳を見ると・・・。 やはり壮大だった! 晴れてて鶴見岳がしっかり見えるのはいいものですね。詳しい様子は→コチラ では329日目の発表です! 結果3.7km! 累計1591.9km! 残り408.1km! もしかして・・・。 1600が見えてる!?
結局小1の夏、哲也は水牛を捕まえることはできなかった。 ただ、少々大きめのものはとれたし、満足もしていた。 そして来年の夏は必ず水牛をとる!と誓っていた。 長い冬が過ぎ、春が過ぎ、ついに夏がやってきた。 哲也は当然のごとく、クワガタとりにでかけた。 これまでにインプットした場所を順番に回るのが日課だ。 夏休みに入り、7月も終わりに差し掛かる暑い日・・・。 これまでコクワガタや小型のヒラタ・ノコギリと、昨年までと変わらない成果しかあげていなかった。 今ではまだ怖さは残るものの、だいぶ入るのに慣れてきた例のササのトンネルを抜けた先の太いクヌギの場所。 この日もそこを目指して、背の高いササの中をかき分けて進んだ。 そして、クヌギの木の周りのわずかな空間に出る。 樹液のむせかえるようなにおいがたちこめ、鼻をつく。 しかしいやなにおいではない。 いつものように正面には コクワガタやシロテンハナムグリ、カナブンなどの常連が餌場を占領していた。 オオムラサキはじめ、チョウやガのなかまがもうしわけなさそうに、少し離れたところに陣取っている。 ムカデも見えるが、慣れっこの哲也にはさほど怖くはない。 哲也は洋々とコクワガタたちをつかんでかごに入れた。 この木では、ある種行動のパターンが決まってきていた。 まずは正面の樹液まわりをチェック。 次に根元の落ち葉をはぐる。 そして裏側をチェック。 最後に高いところを見上げ、網の届く範囲にいないか見回す。 この木は蹴ってもビクともしないし、背の高さまでには枝もないので今の哲也には登ることもできない。 というわけで、これらの工程を終えたら立ち去るのが常だ。 落ち葉をはぐるとヒラタクワガタのメスを手に入れた。 いよいよ木の裏側に回る。 実は、回ると簡単に書いているが、実際にはそう簡単でもない。 空間があるとはいえ、周りはササがぎっしりだ。 木に密着して回れば、樹液で服を汚したり、ムカデやケムシなどにやられる可能性もある。 網はいったん正面に置いておき、慎重に裏に回る。 なんとか裏に回り、改めて木を見て、哲也は絶句した。 「!」 驚きすぎて声が出ない。 数秒経ち、我に返ってから押し殺したような声で小さくうなった。 「やったぞ。とうとう見つけた・・・。」 本当は大声で叫びたかった。 しかし、気づかれて飛ばれたり、下に落下して見失うと大変だ。 そう、ヤツがいたのだ。 自分の目の高さより少し上。 手を伸ばせば届く位置。 小さなくぼみがあり、メスが頭をつっこんで樹液を吸っている。 そのメスにおおいかぶさるようなオスの姿があった。 そしてその姿はまぎれもなく、追い求めた水牛であった。 穴が開くほど本で見た、あの湾曲の鋭い大あご。 そして今までつかまえたものよりあきらかに大きなからだ。 圧倒的な存在感で、その場を支配していた。 哲也は声を押し殺し、ゆっくりと手を伸ばした。 そしてギュッっとその水牛をその手につかんだ! このとき堰を切ったように、哲也の口からは歓喜の声が漏れた。…
ある日、哲也は川に魚とりにでかけた。 雨の影響か、いつも遊ぶところは少しにごっていて、さらにいつもより水が多く、流れも速かった。 さすがにそこに入って魚をとるのは怖かったので、おだやかな場所を求め、いつもの場所より下流の方へと歩いて向かった。 しかし、どこまで行っても川はいい状態ではない。 「ふう・・・。」 哲也は大きくため息をついた。 さすがに今日、魚をとるのは無理か・・・。 何せ、昨日はまあまあ雨が強かった。 この日は朝から晴れてはいたが、川がすぐに落ち着くわけもない。 しかたない。帰ろうか・・・。 引き返そうと思ったのだが、ふと川沿いにある木が気になった。 「あれはヤナギ?」 川沿いのアスファルト道路にはところどころガードレールがあった。 ガードレールの横は土手になっており、河原へとつながる。 今までそんな下流まで来たことがなかった哲也は、このヤナギの存在を知らなかった。 いつも山ではクヌギの木で採集をしている哲也だが、ヤナギに反応したのにはわけがあった。 哲也の自宅のそばに田中公園という小さな公園がある。 そこには桜やヤナギなどの木が何本か立っていた。 よく遊びに行く場所の一つだが、実は一度だけそのヤナギの木の樹皮の下で もぐりこんでいたコクワガタをつかまえたことがあった。 河原のヤナギを見たとき、その光景が鮮明によみがえったのだ。 しかし、公園のヤナギと違い、そのヤナギは細くて背が低い。 太くて背が高い公園のヤナギと違って期待はできないだろう。 それでも、魚がとれない以上、なんらかの成果をあげなければならない。 哲也は、もう少しだけ歩き、そのヤナギの木の前に立った。 着いた瞬間、来てよかったと思った。 そのヤナギはそのときの哲也の目の高さまで 樹皮がめくれ、大小の穴があき、樹液も出ており、かっこうのクワガタの住処だったのだ。 しかも、目の前にすでにコクワガタがいる。 それが1頭や2頭じゃない。見えてるだけで5,6頭はいた。 「やった!すげー!」 哲也は歓喜の声を上げつつ、夢中になってクワガタを捕まえまくった。 虫かごを持ってきてなかったので、釣り具入れにほうりこんだ。 一通りとり終わり、ふぅと息をついた。 そのあとふと上を見上げると・・・。 「枝のあちこちにクワガタがいる!」 哲也はかなり興奮状態だった。 目の高さの樹液や、根元、樹皮の下からすでに10頭近いコクワガタをとっていた。 しかし、さらに枝に何匹もクワガタが見えるのだ。 哲也はまず網でとどく範囲のクワガタを網になんとか陥れた。 これでまた数頭追加だ。 でも、まだ見える。 ということで哲也はその木に登り始めた。 そして少し登った、足場が良いところでいったん登るのをやめ上を見上げた。 そのとき、1頭の少し大きめのクワガタが目に入った。 「のこぎりだ!」 哲也は興奮気味に叫んだ。 地面に立てかけておいた網をつかんでゆっくりと操作する。 そして枝の先端にじっとつかまっているノコギリクワガタの下に網を添えた。 それから網のふちでそいつを網に落ち込むように誘導した。…
ノコギリクワガタの大あごには大きく分けて3種ある。 長歯型・両歯型・原歯型の3つだ。 長歯型というのが、大あごが長くて湾曲が強い、いわゆる水牛の大あごだ。 サイズも大型のものでよくみられる。 両歯型は、大あごが長いが、湾曲があまり強くないタイプ。 サイズは中型のものが多い。 原歯型は、大あごが太短く、湾曲もしない。 サイズは小型のもので見られる。 もちろん、哲也は水牛が欲しいのだが、そもそもつかまえたクワガタがコクワガタばかりで ノコギリクワガタをつかまえていない。 なんとかノコギリクワガタをとりたいが、今通ってる場所では厳しい。 というわけで、哲也は気になる場所に行ってみることにした。 いつもの道沿いのクヌギたち。 そこから少し離れたところにササが伸びた雑木林がある。 その中にはクヌギの木もある。 実は、そこに自分より大きな男の子が入っていくのを見たことがあった。 確信はないが、おそらくクワガタやカブトムシをとるためだろう。 しかし、ササはそのときの哲也の背よりも大きく伸び、中がどうなっているのか見えにくい。 正直言うと怖かった。 だが、今のままではノコギリクワガタはとれないだろう。 哲也は意を決して、その中に入ることにした。 網をさかさまに持ち、柄の部分でササをかきわけながら進む。 そもそもどこに行けばクヌギがあるかもわからない。 ヒントはその場所を遠目に見たときに見えたクヌギの枝葉があった方向。 しかし、中に入ると思った以上に方向感覚がなくなる。 「このまま奥に行ったら出られんくなるかもしれん・・・。」 哲也は不安で引き返したくなった。 しかし、ノコギリクワガタの写真が頭をよぎる。 哲也は泣きそうなのをこらえて前に進んだ。 行くしかない。 泣き虫な哲也もやるときはやるんだ。 ガサガサと自分の背よりも高いササを払いながら進むこと数分・・・。 しかし哲也にはとてつもなく長い時間に感じていた。 そのとき、ポカンと開けたスペースに出た。 「うわ!すごい!」 とんでもない光景が広がっていた。 むせ返るような樹液のにおい。 大人二人で囲まないと届かないんじゃないかというほど太いクヌギ。 目の高さほどのところが広範囲にわたってでこぼこで、いたるところから樹液があふれ出ている。 そしてチョウやガ、カナブンなどの昆虫がわんさかいた。 そしてすぐに、コクワガタのオスとメスを見つけ手を伸ばそうとした。 「ん?」 手を伸ばしながら木に近づいてるとそこから少し右上にクワガタの姿が見えた。 「まさか!」 哲也は今にもつかもうとしていたコクワガタから目をそらし、その右上を凝視した。 「ノコギリだ!」 哲也は、必死にそのクワガタをつかんだ。 「やった!ノコギリだ!」 哲也の手には、小型の原歯型のノコギリクワガタがにぎられていた。 ついにノコギリクワガタを自分の力で手に入れたのだ。…