マイマイカブリ編で登場した父特製の大きな虫かごは、もともとバッタを飼いたい!という哲也の願いからうまれた。
どうせいろんなの飼いたいんだろうと、父は2つも作ってくれたのだ!
普段、厳しくて怖い父でしたが、こういうところがあったのだ。
かごが完成した日の夜はいてもたってもいられなかった。
早く、あの中にバッタを入れたい!
哲也は夕方のうちに、下の部分に畑から土をもってきて入れ、さらにこれも畑から雑草を根っこごとひきぬいて持ってきて、かごの中に植えつけた。
草は畑に充分あるし、近所の草むらにもたくさんある。エサに困ることはないだろう。
そう思っていた。
そうして、バッタの家をつくりあげた哲也は満足して眠りった。
次の日、帰ってきた哲也はすぐに網を持ってでかけました。もちろんバッタをとるためだ。
狙いはショウリョウバッタ。
30分ほどかけまわり、いろんなバッタを手にした。
そして、大きなショウリョウバッタもつかまえた。
哲也はショウリョウバッタ以外を逃がし、その大きなショウリョウバッタを虫かごに入れて飼うことにした。
ワクワクしながらかごに入れた。
家は気に入ってくれるだろうか?
入れてからしばらく観察した。
飛び跳ねたり、網によじのぼったりしている。
草にもとまるが、食べる様子はない。
まあ、明日には食べるだろう。今はおなかすいてないんだ・・・。
哲也はそう思い、その日はそのままにしておいた。
次の日も観察を続けたが、草はあまり食べてないようた。
哲也は畑に生えていた、いろんな草をとにかくひっこぬいて植えていた。
よく見ると、ぜんぜんかじったあとがない葉と、少しかじったあとがあるものがあった。
もう少しようすを見ることにしよう。とりあえずこの日もそのままにしておいた。
次の日・・・。
「あっ!」
哲也は思わず声をあげた。
草がほとんどしおれてるんです。
水はあげてましたが、結局根がしっかりついてなかったようだ。
しかも、やはりかじられたのとかじられてない葉に差がある。
よく見ていくと、気づいたことがあった。
「スジがまっすぐのやつだけかじってる。」
そのころの哲也は平行脈なんて知らなかった。
コイツはそのタイプの葉だけをかじってるようなのだ。
この葉なら、いつもいく草むらにたくさんある。
しかし、草の丈は高いし、根もしっかりしててひきぬけないだろう・・・。
どうしようかと考えていたとき、ばあちゃんから声をかけられました。
「哲也!お仏壇の花、とりかえるからおろしてきて。」
「はーい」
哲也は仏壇に向かった。
そして花瓶をとったとき・・・。
「これだ!」
ある考えが浮かんだのだ。