哲也昆虫記 ~ファーブルになりたかった少年~ ⑦掃除屋たちとの出会い その3

哲也なりに考えてしかけたワナ。

思惑通りオサムシはいるのか?

哲也はまずイモムシの入ったビンに向かった。

そーっとのぞくと・・・。

そこはアリとハエの温床だった。

おそらくアリが群れでイモムシの体中をかみまくり、

そこから体液が漏れて、そのにおいでハエがたかったのだと思う。

「うっ・・・。」

哲也は思わず声を出した。

おぞましい状況だ。

「ダメだったか・・・・。」

ため息交じりに言うと、哲也は次のビンに向かった。

次は牛脂を入れたビンだ。

掃除屋と言われる虫たちなら、絶対にくるはずだ!においもするし。

と期待をこめてビンをのぞいた。

「おっ、なんかいる!」

白っぽい牛脂だけではなく、黒っぽいものが見えた。

哲也はその黒いものを確認した。

しかし・・・。

「シデムシだ・・・。」

オサムシと並んで、掃除屋の異名が高いシデムシが何匹かいた。

交尾してるものもいた。

アリやハエもいる。

すべて確認はしていないがゴミムシのなかまもいるようだ。

しかし、残念ながらオサムシはいない。

哲也はシデムシはそれほど好きではなかったので

「いやな虫しかとれないやん・・・。」

とグチを言ってみせた。

(幼い子供が考えたワナだ。そうそううまくいかないか・・・。)

哲也はがっくりしながら、自分に言い聞かせた。

3つのうちすでに2つでダメだったのだ。

家を出るときの、期待に打ち震えた哲也はもういない。

あきらめと失意に満ちた哲也はもう期待もせず、最後の1本のほうへと向かっていった。

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