今日は雨の合間に塾の近辺を歩きました! 梅雨に備えて、少しでも距離を伸ばしておかないと・・・・。 では昨日の結果です! 結果3.7km! 累計123.1km! 残り876.9km! という感じです。 モンシロチョウの交尾のようすを見ながら、今日もがんばりました!
哲也はまたこの神社に来ていた。 少し日が落ち始めた時間帯・・・。 哲也が真昼間ではなく、夕方近いこの時間にここに来たのにはわけがあった。 カナカナカナッ こんな鳴き声のセミをご存じだろうか? そう、ヒグラシだ。 クマゼミ、ミンミンゼミ、アブラゼミ、ニイニイゼミ、ツクツクボウシ。 昼間に来ると、そのどれも捕まえたり、声を聴いたりすることができる。 まあ、ツクツクボウシは真夏より晩夏のほうが多いが・・・。 とにかく、ヒグラシは 全くいないことはないが 早朝や夕方のほうが鳴いてる率が高い。 この日、哲也はヒグラシの声を聞きながら 木の上で寝そべって、自然を満喫したいと思った。 あの独特の声は、何度聞いても耳に心地いい。 そのためいつもより遅めの時間にしたのだ。 神社に着くと、哲也の狙い通りヒグラシの声がする。 哲也はいつもの木に登り、いつもの場所に寝転んだ。 少し背中や後頭部に、でこぼこしたものが当たるが、それも今となっては慣れたのか心地いい。 ミンミンゼミやヒグラシの声を聞きながら、眠りかけたようだ。 「うわっ!」 哲也はバランスを崩して落ちそうになった。 なんとかこらえて、落下は免れたがやはり怖かった。 「バリこわかった!」 そういうと哲也は、目を覚まそうと木から下りて歩き回ることにした。 最初にも書いたが、ここはセミ以外にも昆虫はたくさんいる。 まずはアリジゴクを探して遊んだ。 彼らを引っ張り出すと、後ろ向きに進みながらあのすり鉢状の巣をつくるので、見てるだけで楽しかった。 ハンミョウやニワハンミョウなどがいると、それらを追っかけたりもした。 最近はセミばかり見て、上を見上げることが多かったが この日は地面ばかり見ていた。 そのとき、ふと何かしら違和感を感じた。 「あそこの土になんかいる・・・。」 哲也は少し固い土の場所になんらかの気配を感じて、立ち上がり近寄った。 「あっ!セミの幼虫!」 セミの幼虫が土の中から出て来ていたのだ。 「スゲー!」 しかし、ここで疑問がわく。 これまで何度もここに来て、セミもたくさんいるのに なぜ幼虫に出くわしたのが、これが初めてなんだ? もっと出会っててもいいはず・・・。 そんなとき、哲也は図鑑のページを思い出した。 セミの羽化のようすを収めた写真は周りが真っ暗。 普通、夜に出てくるのでは? コイツは勇み足で、たまたまこの時間に出てきたのかもしれない。 そいつはゆっくりと、土をかきわけるように外に出てこようとしていた。 大変そうだが、哲也が掘り出すわけにはいかない。 哲也は父からあることで教えられたことがあった。 それはクモの巣にかかったセミを逃がしたときのことだ。 「てっちゃんはセミがかわいそうやけん、逃がしたんやろう?」…
哲也はこの神社で様々な楽しみ方を発見した。 まず、いろんなセミのオス、メスをつかまえて見比べるのをさんざんやった。 オスは鳴くがメスは鳴かない。 これについては、自分を含め、周りの子たちもほとんど知ってる事実だ。 しかし、それ以外に違いはないか? で、つかんでいろんな角度から見てみる。 そして裏側を見たときに感動した。 オスには大きな弁があり、メスはない、もしくはかなり小さい。 それが間違いではないか、何匹も見比べて確かめ、オスだけが大きな弁をもつことを確認した。 さらに、オスをつかんでいると、当然ギーギーとさわぐのだが、そのときその弁がふるえてることもわかった。 「おもしれぇ!」 ふるえる弁を見て、哲也はそう思った。 どの種もそうなるか確認したりした。 どれも弁は声を出すときふるえていた。 震えている弁をおさえると、音が出にくくなったり小さくなったりした。 記憶では完全にとめるのはできなかったと思うが、もう覚えていない。 それと、弁の形や色が結構、種類によって違うこともわかった。 もしかすると、弁の形によって出る音が変わるから、セミの種類によって鳴き方が違うのかもしれない・・・。 哲也はそんなことを想像していた。 大きなクマゼミが特に好きだと書いたが、そのクマゼミのオスの弁は黄色というか橙色というか、とにかく鮮やかで、ほかのセミとは全く違っていた。これもまたクマゼミを好きと言わしめるところだ。 さらに、哲也は採集方法も考えた。 この神社はとにかくたくさんの木々があるため、セミたちは木から木へと飛び移っていく。 そのため、セミを見つけたら近寄って網をふるい、逃げられたらその方向を見失わないように目で追い、また近づく。 セミとりは意外と移動が多く体力を消耗するのだ。 「楽にとれる方法ないかな・・・。」 と考え込んでいた時だ。 ぼーっとしたまま突っ立っていると 1匹のセミがピタッと、哲也の服にとまった。 「?」 こんなことがあるのか。エサの樹液が絶対に吸えそうにないのに、なぜとまるのか? 理由はわからない。 しかし、よく考えたら、家の壁にとまったり、電柱にとまったり 生きてる木じゃないところにもとまるのを何度も見てるじゃないか!? 人の気配がしなければ、こうやって近くまでくるのでは? 哲也は、手ごろな木にのぼった。枝がたくさんあり、足場がある木だ。 そしてある程度の高さまで登ると、哲也は枝を枕にねころんだ。 木の上で寝転ぶのは気持ちがいい。 まあ、あちこち痛いが・・・。 で、そのまま網は右手に持って置きじーっと動かなかった。 しばらくするとセミはその木にやってきた。 手を伸ばせばとどきそうなくらい近くだ。 哲也はゆっくりと網を動かし、サッとかぶせた。 簡単にとれた。 場所によっては網が動かしづらいこともあるが、これはかなり楽だ。 セミは(私の知る限り)とまる樹種を選ばない。 なので、どの種類のセミもこの木にやってくる可能性がある。 移動しまくるよりはとれる数は少ないが、とにかく楽なのだ。 このように、この神社は哲也の虫取り場、および遊び場として貴重な場所であった。