小さな滝まで来て、もう一度竿を伸ばす。 ここでどんな結果が待っているのか? まだ哲也は知らない。 ここでダメでも、またさっきのところに戻るという選択肢はない。 哲也は、仕掛けを少し作り変えた。 滝のところは流れが速いので、おもりを重くしたのだ。 さっきのところに戻るなら、またおもりを変えなければならない。 だから、もう戻る気はない。 えさは、この泡立つ滝つぼの中で目立つように、ミミズを使うことにした。 哲也はえさを付け終わると、滝つぼの少し下流から、滝つぼに向かってえさを投げ入れた。 するとすぐに、手にプルプルと魚がかかった感覚が伝わってきた。 「きた!」 哲也はすぐに竿を上げた。 銀輪が宙を舞う。 「ハヤか。」 いつもなら釣れて喜ぶハヤだが、さすがに今回はヤマメ狙いなので、釣れたはいいがちょっとがっかりした。 もう一度えさをつけかえて投げる。 すぐにまたアタリがくる。 「またハヤだ・・・。」 ここにはヤマメはいないんだろうか? でも、やるしかない。 さらにアタリがくる。 今度は真っ黒なものがきた。 よく見るとアカハラだ。 ※アカハラ=イモリ ふだん、かわいいと思ているイモリも、このときばかりは憎らしく見える。 哲也は針を外すと下流に向かってイモリを逃がした。 哲也はまた仕掛けをいじる。 今度は針を大きめにし、小さいハヤではそうそう口にかからないようにしてみた。 再度えさを投げ入れる。 さおをしっかり握りこみ、アタリを待つ。 しかし、今度はさっきまでのようにすぐにアタリはこなかった。 針を大きくしたからだろうか? さおを握ったまま、時が流れる。 そのうち仕掛けが流され、手元に来るので引き上げる。 哲也はこれではダメだと思った。 針を小さくすれば、小さい魚がかかる。 大きくすれば何もかからないまま、仕掛けが流される。 そこで、思い切って仕掛けを完全に変えることにした。 今度は中通しのおもりのかなり重いものを使うことにした。 そして滝つぼに仕掛けを沈めてしまう作戦だ。 そうすることで、竿も持ったままではなく、置いておくこともできる。 早速仕掛けを作り変え、えさをつけて投げ入れる。 それからしばらく竿を握って様子を見る。 今のところアタリはない。 哲也はしばらくしてから、竿を石を使って固定した。 そして、ちょっとゆっくりすることにした。 実際、ここは素晴らしい自然の中だ。 これまでヤマメのことばかり考え、周りが目に入っていなかった。 こうしてゆっくりと腰を落ち着けて、周りを見回してみると、いろんなものが見れた。…





