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哲也昆虫記 ~ファーブルになりたかった少年~ ③キチキチバッタとショウリョウバッタ その5

ある夏の夜。暑くて寝苦しかった。 哲也は何か飲もうと思い、家族が寝静まった中、一人起き上がった。 冷蔵庫に向かい、麦茶をコップにそそいだ。 冷えた麦茶を一気に飲み干し、さて寝ようか・・・。と思いまたふとんにもどろうとした。 そのとき、何となく「ちょっと虫かご見てから寝よう。」と思った。 それで哲也はすぐにふとんには向かわず、虫かごのほうに向かった。 バッタの家の近くまで来た時、哲也ははっと息をのんだ。 ショウリョウバッタが土におしりをさしていたのだ。 あの細身のまっすぐなきれいな緑色の体。 それが今は、おなかを大きく下に向けて曲げている。 おしりの先は土中にあるのか見えない。 「産卵中だ!」 哲也はバッタを驚かさないよう、心の中で叫んだ。 なるほど、彼女は夜に産卵行動するから、これまで見られなかったのかもしれない。 とりあえずは、この行動を見たのはこのときが初めてだった。 ものすごく感動した。 図鑑には、トノサマバッタではあるが 土中におしりをさして卵を産む様子の写真があり、これまで何度もそのページを見返していた。 それと同じ光景が、ついに哲也の目の前で行われている。 こんなすごいことがあるだろうか!? 哲也の興奮はとまらなかった。 それからほどなくして、哲也は再びふとんにもどったが、目がぱっちりと開いたまま、なかなか眠れなかった。 次の日の朝、哲也は再びバッタの家をのぞきこんだ。 何も変わったようすはない。 ショウリョウバッタは昨夜何事もなかったかのように、普段通り草にかじりついている。 ただよく見ると、昨日バッタがおしりをさしこんでいたと思われる場所が不自然にでこぼこしていたが・・・。 これはホントによく見ないとわからないし、そもそも昨日その光景を見ていなかったら全く気付かないレベルだった。 野外の産卵のあともこうなのだろうか? いずれ、その現場を見てやろうと思った。 それからほどなくして秋がきて、元気だったショウリョウバッタも突然終わりを迎えた。 いつもバッタのなかまを飼い、そうやって死んでいくことには慣れていたはずだが、彼女の死は今までと違った。 なんともいえないさびしさがこみあげてくる。 バッタの飼育法の確立。 キチキチバッタとの交尾のようす。 土中におしりをさしこんでの産卵行動。 彼女はいろんなものを哲也に残してくれた。 これでもそうとうありがたかった。 しかし、まだ彼女の意思は残っている。 哲也は冬場、土が乾燥しないように時々霧吹きをした。 そして、土中の卵を見たい!という衝動に駆られながらも、そうすることで卵がダメになってはいけないと思い、必死に自重した。 そうこうしているうちに、寒い寒い冬も終わりを告げる。 春の到来である。

ツチイナゴ発見!

ツチイナゴ発見しました! この時期にバッタ類の成虫が見られるのは、コイツくらいじゃなかろうか? ほとんどのバッタ類が、今はまだ活動していないか、または活動始めてるけど幼虫かという状況である。 では、なぜこのツチイナゴはこの時期成虫を見ることができるのか!? それは、この種がバッタのなかまとしては珍しく、幼虫または成虫で越冬するからです。 これからパートナーを見つけ、卵を産み、幼虫が出てきて秋くらいにまだ幼虫であることが多いです。 で、幼虫または成虫の状態で草陰や木の根元などで越冬し、春に本格的に活動するという、多種とは全然違う生活史を送ります。 ※普通は晩夏~初秋に産卵。冬の間卵で過ごし、春に幼虫になって出てくる。それから夏までに成長して成虫になり、また秋に卵を産む。というのが一般的なサイクルです。 というわけで、この時期に成虫を見れる数少ない種。 みんなも見つけてみてください! ツチイナゴについて詳しく知りたい方はコチラ

別府市 学習塾RainBow 科学の部屋 ムラサキカタバミ

ムラサキカタバミがきれいな時期になりましたね! カタバミとよく似てるけど 花は黄色ではなく薄紫。 また、カタバミより大きめで、背も高くなる。 これはたまたまかもしれないが、カタバミが多いところにはムラサキカタバミはあまり見られず、棲み分けてるのではないか?と思う。 種としてはカタバミと同じ双子葉類・離弁花類に属する。 カタバミについてはコチラ <ムラサキカタバミ> 被子植物 双子葉類 バラ類 カタバミ目 カタバミ科 カタバミ属 ムラサキカタバミ 通常のカタバミよりも、花も葉も大きくなるので観賞用としても楽しめます。

哲也昆虫記 ~ファーブルになりたかった少年~ ③キチキチバッタとショウリョウバッタ その4

おそらく、最初に入れていたショウリョウバッタも、あとから入れたキチキチバッタも この新しい家を気に入ってくれたように思う。 生き生きとした葉っぱは、お気に召してくれたようで、2匹とも草を無心にかじっている。 ほっとした哲也は、しばらくその場を離れた。 哲也とて、虫取りと虫の世話だけをしているのではない。 宿題とか、ほかにすべきこともある。 数時間後、哲也は気になってバッタの家のようすを見に来た。 すると・・・・。 「交尾してる!」 大きなショウリョウバッタの上に、小さなキチキチバッタが乗っかってたのだ。 「すげー!」 哲也は歓喜の声をあげた。 この事実は、この2匹が同種であることを意味しているからだ。 哲也はこの光景を見て、キチキチバッタがショウリョウバッタのオスであることを確信した。 しかし、安易に決めていいとは思っていない。 哲也にはまだまだこの先の展望があった。 とりあえずは、このまま彼らを飼い続けてみることにした。 彼らはそれぞれに草を食べたり また交尾したりといった感じで過ごしていた。 まあ、交尾が複数回成立しているので、99%同種で間違いはないのであろう。 哲也は同種だと決めつけたい気持ちをぐっとこらえて これからさらに見守っていくことにした。 哲也の狙いは何か? そう、産卵である。 図鑑によれば、ショウリョウバッタの産卵のようすは載っていなかったが、トノサマバッタの産卵のようすが載っていて、土におしりをさしこんで産卵するらしかった。 同じバッタならこういう行動をするのではないか? そう思い、観察を続けたが、なかなかその場面にでくわすことはなかった。 土が悪いのか、環境的に産むのには落ち着かないのか・・・。 哲也にはわからなかった。 そうこうするうちに、日にちだけが経過していった。 ある日、哲也はがっくりと座り込んだ。 昨日まで元気だったのに・・・。 キチキチバッタ(=おそらくショウリョウバッタのオス)が動かなくなっていた。 そう、彼は死んでしまったのである。 ただ、メスのほうはまだ元気にエサを食べている。 交尾は何度も確認しているから、メスだけでも産卵は可能なはず。 哲也はあきらめず、最後まで飼うことにした。

別府市 学習塾RainBow 週末の過ごし方 勉強がんばろう!

毎日忙しくがんばるみんなにとって、土日はどんな位置づけなんでしょう? ボクは、勉強はすべきだと思いますが、息抜きも大事だと思います。 日曜は勉強もするが、ゆっくりしたり楽しんだりする時間も必要だと思います。 というわけで、ボクの考える週末の動きで重要なのは土曜日。 いかにこの日に、効率よく勉強しておくか。 最低でも宿題はすべて土曜日に終わらせて、やっておきたい勉強なども進めておくべきです。 ありがちな思考として、「日曜にやればいいや。」というもの。 そして、日曜にやるべきことをためこんで、何もリフレッシュできず、夜中まで宿題に追われてしまう・・・。 こんな週末の過ごし方から早く脱出してください! とにかく、土曜日にできる限りがんばって、日曜に余裕ができるようにしましょう! そして日曜日は、午前中とか、夜にいくらか勉強し、昼間は自分の趣味や、ゆっくりする時間にあててください。 受験生(中3や高3)の場合は、あまりゆっくりもできないかもしれませんが、例えば朝4時間、夜4時間やっても8時間の勉強時間が確保できます。 土曜日を無駄にしないこと、一日の動きを明確に決めて行動すること、そうすれば受験生もちゃんと息抜きはできるんです。 今日は土曜日!みんなしっかりがんばろう! もちろん、自習OKだよ! 自習室開放はこのあと15時から。 22時まで開けてます!

別府市 学習塾RainBow 科学の部屋 ツルニチニチソウ

今の時期を紫に彩る花。 ツルニチニチソウ。 かわいい花なので、好きな人も多いのでは? 育てるのも容易で、勝手に増えます。 ウチの庭でも増えてます。 <ツルニチニチソウ> 被子植物 双子葉類 リンドウ目 キョウチクトウ科 ツルニチニチソウ属 ツルニチニチソウ この花は初夏くらいまで楽しめます! 見つけたら観察してみよう!

哲也昆虫記 ~ファーブルになりたかった少年~ ③キチキチバッタとショウリョウバッタ その3

哲也はばあちゃんから、使わない小さめのコップをいくつかもらった。 それに水を入れ、例の虫かごの土の上に置いた。 それから、いつもバッタをとる草むらまでいき、すじがまっすぐの葉(平行脈)を茎からかりとってきた。 花は水につけておくと長持ちする。 なら、葉っぱもそのはずだ。 仏壇にあげる花は、ばあちゃんが茎をななめに切って、花瓶にさしていた。 じゃあ、同じようにすればいいんだ。 で、コップの中にそれらの葉っぱをさしてみた。 なんとなく生き生きしてる気がする。 何より、入れてふたをするとすぐにショウリョウバッタはその葉をかじりだした。 「うまくいった!」 哲也は飼い方をやっと見つけたと思った。 この状態なら、何匹かいっしょに入れてもいいのでは? というわけで、また哲也は網を持ってでかけた。 さっき、葉っぱを刈り取りに行った草むらだ。 キチキチキチッ 音が聞こえた。 「キチキチバッタだ!」 哲也は音がしたほうを見た。 バッタが着地する場所が見えた。 網をかまえ、そーっとその付近に近づく。 ゆっくりと近づいていくと、葉にとまるキチキチバッタが見えた。 バシュ! 哲也は網を振った。 「入った!」 バッタは網の中で飛び跳ね、網にぶつかっている。 哲也はそれを網の上からつかみ、傷つけないように慎重につかんだまま 左手を網の中に入れて、そいつを直接つかんだ。 「よし!とれた。」 哲也はすぐに虫かごに入れ、まじまじと観察した。 「う~ん。似てるなぁ。」 そう、大きさは小さいものの、やはりショウリョウバッタとよく似ている。 このとき、哲也はふと思った。 同じ種類で、オスとメスなんじゃない? キチキチと音を出す少し小さめのキチキチバッタ。 どっしりとした重量感をもち、音を立てずにとぶショウリョウバッタ。 あてずっぽうではなく、哲也なりの理論があった。 カマキリはオスがメスより小さい。 コオロギやキリギリス、セミなどはオスしか鳴かない。 こうした事実から、音を出し、小さいからだのキチキチバッタはオスではないか? そう思ったのだ。 哲也はこれを確かめる絶好の機会だと思った。 例のショウリョウバッタと、このキチキチバッタを一緒に飼い、交尾するかどうか見る。 そしてうまくいけば、産卵までしてくれると確実だ。 哲也はそのまま持ち帰り、ショウリョウバッタの家にキチキチバッタを迎え入れた。 そして、その日はほかのバッタはとらなかった。 最初はいろんなバッタを一緒に飼ってみようと思っていたのだが、そうするともし産卵してもどれとどれの子かわからなくなるかもしれない。 ショウリョウバッタとキチキチバッタのみを入れていれば、もし子供が生まれれば絶対かれらの子供たちということになる。 そう考えたのだ。 ※一見正しそうなこの考え、当時の哲也は信じて疑っていなかったが、本当はこの考えは正しいとはいえない。今の自分にはわかるが・・・。そう、メスはこのキチキチバッタと一緒に過ごす前に、野外で別のオスと交尾している可能性がある。その点はこの時点の哲也には想像できていなかった。…